米国 ボールステイト大学の研究チームは、IRONMANレースのバイク&ランにおいては、1時間あたり500〜1,000mlの水分を補給することが、パフォーマンスを維持するための適量であると発表した。レースペースや体質によって失われる水分は異なるため、1時間あたり500〜1,000mlと、最適とされる量には幅がある。
同研究チームは、7人のアスリートに6時間のバイクライド(室内)行わせ、発汗や尿などで失われた水分と同量の水分を摂取させた。その結果、1時間あたり1,000ml近くの水分が失われることが判明した。
ニュージーランドの研究チームも、IRONMAN New Zealand参加者に対して同様の検証を行っている。こちらの実験では、参加者の水分摂取量の平均値は、1時間あたり716mlであった。
なお、The American College of Sports Medicineでは、1時間あたり600〜1200mlの水分補給を推奨しているが、この数値は十分練習を積んでいるアスリートの実験データであり、IRONMANのような長いレースや一般アスリートに対する数値としては参考にしずらい。なお、長時間スポーツに関する推奨数値として、international marathon medical directors associationでは、1時間あたり400〜800mlの水分補給を薦めている。
失われた水分に対して、十分に水分補給しなかった場合は、脱水により、パフォーマンスが低下してしまう。逆に過剰に水分補給した場合は、血液中のナトリウム濃度が下がり、低ナトリウム血症(医師が編集している医療サイトmedleyによると、意識障害、吐き気、頭痛などの症状がみられるという)のリスクが高まるという。水分補給は、少なすぎても多すぎても適切ではなく、バランスが求められる。ペースや体質、レース時の気温や湿度などの環境によって発汗量は異なるため、水分の適切な摂取量を断言するのは困難である。
参考文献:
Fluid replacement during prolonged exercise: effects of water, saline, or no fluid
Fluid Balance During and After an Ironman Triathlon
低ナトリウム血症 – 基礎知識(症状・原因・治療など) | MEDLEY(メドレー)